10月中旬より世間を騒がせている横浜傾斜マンション事件。
約9年前、下請けのくい打ち工事を担当した旭化成の子会社である旭化成建材が、工事の際にデータ改ざんを行った不十分な施工により、9年経った現在、マンションが傾いてしまった事件だ。横浜市都築区の705戸もの大型マンション、「パークシティーLaLa横浜」での出来事だ。
大手一流企業による、意図的な不正建設行為が明らかになったことで、建設業界全体に対して波紋が広がっている。まずは、旭化成建材が近年10年間で担当した3040件のくい打ち工事に不正がなかったのかのチェックが始まっており、監督官庁である国土交通省の大臣も11月13日までに報告するように通知した。中でも、横浜の傾いたマンションを担当していた現場監督者が担当した案件41件を優先的に調査すると、親会社の旭化成が発表をしていた。
ここで、本日新たな不正が発覚してしまったのだ。
旭化成建材による新たな不正発覚
10月28日(水)北海道庁は、「平成22年から23年にかけて釧路市内で施工された道営住宅の旭化成建材による工事にて、くい打ちのデータの流用が見つかった」と発表した。31本のくいの内、1本のくい打ちデータに、隣接する建物のデータが転用されていたことが分かったのだ。
旭化成建材が請け負ったくい工事3040件の中で、北海道内の工事件数は422件と一番多く、北海道庁は本問題に関する相談受付窓口を北海道庁内に開設し、道民への対応にあたっている。そんな中、北海道庁の独自調査の結果、不正が発覚したのだ。
なお、発表された1件であるが、横浜傾斜マンションの現場監督者ではない別担当者によるデータ改ざんであることが明らかになっている。なぜなら北海道内には、当該現場監督者が請け負った41件の工事は1件も含まれていないことは以前の旭化成の発表により判明している。※こちらの記事を参照
同じようなルーズな現場監督者がいるということは、傾斜マンション問題が、氷山の一角ではなく、業界全体の暗黙の問題であるという可能性が高まってきている証拠ではないだろうか?
北海道庁による記者会見 23:00過ぎ
北海道庁が単独で記者会見を行ったが、残念ながら当事者である旭化成建材からは何も正式な発表は行われていない。
北海道庁によると、旭化成建材はデータの転用があったことを認めたうえで、「適正に施行しているので、安全性には問題ない」としているようだが、同社のホームページ上にやプレスリリースは、23時50分時点で行われていない。
なぜ、自治体が独自に発表するような事態となってしまっているのか?両者の意思疎通が図れていないのか。今後の調査にも注目したいが、同じような案件が次々と出てこないことを願いたい。
※事件の経緯や物件情報についてはこちらの記事をご覧ください。
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