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原発再稼動とベストミックスを考える

      2015/09/10


東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故により、日本の原子力発電所はすべて停止した。

つまり、日本のエネルギー政策が、ガラッと見直されたのだ。

皆さんも、「原発再稼動の審査」とか、「太陽光発電バブル」といった報道を目にする機会も増えて、知っている方が多いのではないだろうか。

何より電気代が上昇したことは、我々の生活への影響が大きい。

東京電力によると、震災直前に平均的な4人家族の1家庭あたりの電気料金は、月に6234円(2011年2月)であった。

そして、今の電気料金は、月に8501円(2015年4月)だ。

すなわち、この約4年間で、4割近く東電管内では電気料金があがったということだ。

事故が無ければ発電コストを安く抑えて、充分な電力を供給することができる原子力発電の再稼動を求める声がある。

一方で、一度事故が起きると、向こう数万年は人が住めなくなるという最悪の事態に陥りかねない危険性から、再稼動をすべきで無いとの声も多くあがっている。

再稼動派、脱原発派ということで分かれるところだが、国民の大半は原発を動かさなくて良いなら動かさずに電力の供給をまかなって欲しいと考えているアンケートの結果も出ている。

そのような中で、日本の未来のエネルギー政策や方向性を定める、エネルギーのベストミックスについての議論が進んでおり、この5月には今後日本が推し進めていく電源の種別が明らかになることとなる。

少し状況を解説したいと思う。

 

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エネルギーミックスとは?

我々の生活に欠かせないエネルギーには、電気や車を動かすガソリン、寒い地域ではストーブ用の灯油、ゴミを焼却した際に排出されるを活用した温水プール、最近では燃料電池自動車に活用される水素まで、さまざまなエネルギー源があげられる。

今、国で中心的に議論を行っているエネルギーミックスとは、特に生活に身近な「電気」について、「その発電をどのような方法・電源で行うか」を指している。そして、その電源をそれぞれどのくらいの割合で活用するのか、という議論である。

あわせて、「熱利用」の議論も行われている。

具体的には、原子力発電●%、火力発電(石炭、天然ガス、石油)●%、自然エネルギー発電●%といった具合だ。

 

どのように議論が進んでいるのか?

電力の監督省庁は経済産業省である。

そのため、経済産業省の中で、大学の先生、経団連や経済界(特に電力を多消費するような企業)の経営者、消費者団体の代表など、各ジャンルに詳しい有識者から委員が選ばれ、「長期エネルギー需給見通し小委員会」が行われている。

議論は今年の1月末より開始され、既に7回の委員会が開催されている。

どのように最適な電源構成を議論するのか、という判断基準について、「S+3E」という概念が用いられている。

安全性を大前提として、電力を安定供給できること、発電コストが安く経済性があること、そしてCO2等の排出量を極力抑え環境に優しいこと、を元に電源の最適な割合・バランスを検討している。

  • S (安全/Safety)
  • E (供給安定性/ Energy security)
  • E (経済性/ Economic growth)
  • E (環境保全/Environmental conservation)

なお、元々は3Eを想定してエネミックスが議論されていたが、東日本大震災、福島第一原発の事故を踏まえ、さらにその大前提として「S」の安全であること、が判断基準に追加された。

そのため、現在、原子力発電はすべて停止しており、原子力安全規制委員会がこの原発は安全だ、と判断をした発電所については、今後政府は再稼動を速やかに行っていく方向性を示している。

しかし一方で、福井県の高浜原発では、司法の判断により裁判の結果、原子力発電所の再稼動が認められないという、地方裁判所の判断が下ったのはつい最近のことである。それだけ、原子力発電所については、色々な判断基準があることは間違いない。

また、「E (経済性/ Economic growth)」の判断を行うために、長期需給エネルギー見通し小委員会の下部ワーキングとして、「発電コスト検証ワーキング」が開催されている。

こちらも有識者の委員により、各電源種別ごとの発電コストを2011年度に一度整理して以来、再検証を行っている。

原子力には事故対策費用を含める、再生可能エネルギーには、固定価格買取制度により発生している国民負担(平成26年度の場合、一般家庭で電気料金の中で225円/月 程度徴収されています)も含める、といったような議論が行われている。

 

現在の各電源の割合は?

発電の種類はいくつかあるが、大まかに分けると下記のようになる。

【】内は震災前の時点の割合 ⇒ 2012年度の割合を示している。

  • 原子力発電 【28.6 ⇒ 1.7%】
  • 火力発電(石炭、天然ガス、石油) 【61.8 ⇒ 88.3%】
  • 自然エネルギー発電(太陽光、風力、地熱、バイオマス、小水力) 【1.1 ⇒ 1.6%】
  • 自然エネルギー発電(大型水力ダム発電) 【8.5% ⇒ 8.4%】

2014年度は原子力発電所が1基も稼動していないため、原子力は0%となり、その分火力発電が増え、大まかには火力発電9割、自然エネルギー発電1割という程度の水準となっている。

energy_construction

(出典)経済産業省 長期エネルギー需給見通し小委員会 第1回資料 P47より抜粋

各電源の特徴は?

電源別の特徴の詳細については、下記表をご覧いただきた。経済産業省の審議会にて示されている資料だ。

原子力発電と自然エネルギーは発電時にCO2を排出しない、ゼロエミッション電源として環境に優しい電源とされている。また安定供給という面でも、太陽光など国内の資源で発電できる再生可能エネルギーについては、国産エネルギー、ウランの核分裂を利用する原子力については、ウランの輸入は必要であるが、その資源の調達のしやすさからも、準国産エネルギーとして評価されている。コストが安く経済効率性の高い石炭火力については、CO2の排出量が多いとされている。

まさに、このような各電源の長所を生かし、「S+3E」という観点で、それぞれの電源の割合を決めていくのが、エネルギーミックスにおける議論であり、非常に多くの側面から物事を整理する必要があることから、その検討には時間を要している。

energy

 

(出典)経済産業省 長期エネルギー需給見通し小委員会 第5回資料 P4より抜粋

 

最適なエネルギーミックスの割合は?

この5月にも国が定めようとしているエネルギーミックスであるが、2030年時点で、どのような電源構成が最適解となるのであろうか、ということを議論している。既に新聞報道等によると、「原子力20-22%」「再エネ23-24%」「残る6割弱を火力発電」といった記事が出てきている。やはり、福島の事故を体験した我々の国民感情として、再エネの割合を極力増やし、原子力はそれ以上に増やしたくない、という思いがあるため、政府もその思いを含んだ数値を最終的には決定するのではないだろうかと思っている。

しかし、再生可能エネルギーは2013年度時点では、10.7%あり、その内のほとんどである8.5%は今後、新設が困難な大型のダムによる水力発電所によるものになっている。2012年から固定価格買取制度(FIT)という制度により、太陽光や風力、バイオマス、地熱、水力といった自然エネルギー由来の電気については、電力会社が全量買い取りをはじめたが、まだ2.2%の発電量しかない状態である。この数値を今後、どこまで増やしていくのか、であるが、欧州などでは2030年に45%の電力を再生可能エネルギーでまかなうことを表明している。

日本は電力業界については、先進諸外国にだいぶ遅れをとっている。少なくとも再エネ30%という数値目標を政府には示して欲しいものだと考えている。

世界の温暖化による気候変動もそのひどさが年々増してきている印象があるなか、先進国である日本が石炭火力等の更なる利用によりCO2を多く排出してしまうようなことは、国際社会における日本の役割を踏まえても、あってはならないことであろう。

4月末には、長期需給見通し小委員会のエネルギーミックス(案)が示され、その後、パブリックコメントを経て、政府が5月中に決定するスケジュールを見込んでいる。

さらにその先には、6/7,8で行われる先進国の首脳会議G7サミットにて、安倍首相が日本のエネルギー政策を議論するために、2020年以降の温室効果ガス削減目標(約束草案)を早急に国連に示す見込みだ。

総理が旨を張って日本のエネルギー政策を議論できるのか、頭を垂れながら国際会議において覇気なくスピーチを行うのか、それはこれからの審議や国民である皆さんのPR次第だ。見守っていこう。

 - 政治

  








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