【横浜傾斜マンション】三井不動産の補償内容（案）｜旭化成建材のくい打ち偽装事件

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10月中旬に横浜市都築区の大型マンション「パークシティーLaLa横浜」が傾く、というショッキングなニュースが、報道ニュースやワイドショーを駆け巡ってから早3週間弱。国民が注目するなか、10月31日と11月1日の二日間にわたり横浜市内のホテルにて、販売主の三井不動産レジデンシャルが住民に対して、今後の補償内容（案）に関する説明会を行った。

31日の住民説明会では、販売主の三井不動産レジデンシャルの藤林清隆 社長だけでなく、元請け建設会社の三井住友建設の新井英雄 社長も出席し、住民に謝罪した。

説明された補償内容（案）は、客観的に見れば、過去の類似するマンションの偽装事件で示された内容を十分に上回る、住民にとっては手厚い内容であることは明らかであったのだが、住民からは「住民合意やマンション建替にかかる時間が不透明」などと、不満がまだまだ出ているようだ。

具体的に示された補償内容（案）

住民説明会で三井不動産レジデンシャルが今後補償すると住民に伝えた内容は、大まかに以下のとおり。

• 5/4以上の住民合意があれば4棟（705戸）全棟建替
• 建替後には、同棟、同号室に入居
• 建替後に売却を希望する場合には、新築販売想定価格で買取
• 全戸に対して慰謝料一律　300万円
• 一時転居用の引越し費用は実費相当＋諸経費40万円まで
• 仮住まいの家賃　28万円/月まで　※現住まいが78㎡の場合
• 住民総意次第では、建替ではなく補強工事も選択可能

「パークシティーLaLa横浜」の住民の皆さんからすれば、「9年間も騙され安全ではない家に住まされていた」とか、「慰謝料は一律300万円ではなく、傾いた1棟の住民には手厚くすべきだ」といった、感情的な思いはあるだろう。しかし、過去の類似事例を見れば、三井不動産レジデンシャルは業界のリーディングカンパニーとして、手厚い補償内容（案）を示していることが分かる。横浜で月28万円だせば、今以上に広くてきれいなマンションに住めることは間違いない。

具体的には、同じ横浜市内で、昨年発覚した販売主は住友不動産、施工主は熊谷組として2003年に分譲した「パークスクエア三ツ沢公園」における補償内容と比較してみたい。

同マンションも販売から10年程度経過した段階でマンションが傾き、原因を調査したところ、くい打ち工事の施工ミスであることが判明した物件だ。第三者の調査結果では、全5棟のマンションのうち、くいが強固な地盤（支持層）に達していない施工ミスで1棟が傾き、その他の3棟でも未達のくいがあることが分かっている。

発覚から1年5ヶ月が経過し、傾いた1棟は完全建替が決定し、住友不動産の全額負担で住民60戸の一時転居は完了した。しかし、建替工事はまだ始まっていない。住民合意を取りまとめるために時間を要しているのであろう。当然、残り4棟の住民には、大きな不公平感が広がってしまっている。

こうした比較からも、三井不動産レジデンシャルは大胆な手厚い提案を住民にしたようにも思われる。鍵を握るのは「住民合意」だ。

4/5以上の住民合意が得られるのか？

705戸のうち4/5以上ということは、564戸以上の合意が必要ということになる。4棟ある中で傾いているのは1棟のみ。別2棟では、くい打ちやセメント量の改ざんが行われているが傾いてはいいない。そして、最後の1棟では、現時点で何も問題が出ていないのだ。

この差が住民合意にどのような影響を及ぼすのか、建替を住民の総意とするのは非常に困難だと予測する専門家の声が多い理由もうなずける。

区分所有法という法律で、建替には全棟の区分所有者と議決権の５分の４以上の同意が必要と定められており、4/5以上という割合は三井不動産が示したものではない。この数字もあくまで法律上の話になるため、数戸でも住民が猛烈に建替に反対するようなら、交渉は長期間化することは間違いないだろう。

旭化成建材のくい打ち施工対象の3040件の調査も全国で進む中、次々と不正が発覚している。この問題の余波はどこまでひろがるのだろうか。もうしばらく見守った上で、マンションの購入等を検討したいと思う。

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